日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月20日話したくなる話にするためには?



★面白くないという仕事はない


私が仕事をしていて、事ある毎に思い出す言葉があります。それは元マッキンゼーのコンサルタント大前研一さんがtwitterにツイートしていた言葉です。
「面白い仕事と面白くない仕事というのはない。面白い仕事のやり方と面白くない仕事のやり方があるだけだ」
私は大学卒業後、40年働いてきました。その間に経験したことを思い起こすと「この言葉は本当にその通りだな」と思うのです。





★自ら仕事を面白くする


例えば、コピーを取るという仕事を例に考えてみましょう。
上司「Sさん、この資料のコピー10部、お願いね」
S「わかりました!」
Sさんは丁寧にコピーを取って上司に渡しました。
上司「ああ、ありがとう」
Sさんはコピーを取るという仕事に真面目に取り組みました。


では、同じ仕事をTさんの例で見てみましょう。上司からコピーを10部頼まれるところまでは同じです。Tさんはコピーを取るついでにその資料を読んで書かれていることを理解しようとしました。
そしてコピー終了後、
T「コピー終わりました。この資料の新しい戦略、面白そうですね」
上司「うん。うちの部門の目玉だからね。でも、どこが面白いと思ったの?」
T「まずSNSの活用は時流に合っているし、この戦略のターゲットが若年層なので訴求力がありそうです。それに、その使い方が~」


SさんもTさんも仕事に真面目に取り組んでいます。しかし、その姿勢は少し異なります。Sさんの意識はコピーをきちんと取ることに集中しています。一方、Tさんはコピーを取りながら仕事に関する新しい情報を得て、それに自分なりの解釈を加えています。Tさんは今後もコピーを頼まれる度に新たな情報を得て、それに自分なりの見解を加えていくことでしょう。Tさんにとってコピー取りは単なる作業ではなく、新たな情報が得られる、ワクワクする仕事なのです。



★物事を面白くするポイントは『考えること』


SさんとTさんの違いは『考える』ことを習慣にしているか否かです。Sさんはコピーを取るよう頼まれてその仕事を誠実に実行しました。しかし単純にコピーを取るだけの仕事ならそのうちSさんは飽きてくるかも知れません。一方、Tさんは、コピーを取る時間を有効に活用できないかと考え、資料を読んで情報を得ることにしたのです。


ところで、考えることで面白くするということは、話をする場合にも当てはまります。


例えば、あなたが運送会社のチームリーダーで、上司から朝礼で安全運転に関するスピーチをするよう依頼されたとします。こうした場合、できればやりたくないと思いながら、通り一遍の話をしても誰も聞いてくれないでしょう。自分もしたくないし、誰も聞いてくれないので話をするのはつまらない仕事になってしまいます。
しかし、なぜ安全運転をしないといけないかを考えて、自分でも納得できる話にすると状況は一変します。


「今日から交通安全週間が始まります。皆さん、一層の安全運転を意識してください。もし一瞬の気の緩みや眠気のせいで、万が一、人をはねてしまったことを想像してください。その人やご家族に対するお詫びの気持ち、自分自身の後悔などで精神的にものすごい負担がかかります。また、警察の事情聴取や被害者の方へのお詫びなどで膨大な時間とお金を費やします。今の皆さんの普通の生活が一瞬にして地獄のような日々になるのです。そんなことにならないよう、安全運転には充分に留意してください」


こうした話をすれば、聞いている人は自分事と捉えて「なるほど、安全運転は大事だな」と思ってくれるでしょう。事前にしっかりと考えれば、聞き手にしっかりと聞いてもらえる話にすることができるのです。そうすれば、どんなに『したくない話』でも、捉え方や工夫の仕方次第で『したい話』にすることができて、話すこと自体、面白いと感じるようになるでしょう。ぜひ『したい話』にする工夫を重ねていただきたいと思っています。



★面白い話にするコツを学びませんか?



日本話し方センターのベーシックコース2日間集中コースでは、したい話にするポイントをお伝えし、それに即したトレーニングを行っています。また話に現れるその人の心の持ち方も重視して講義やトレーニングを行っています。その成果は多くの受講生が実感されています。ぜひ一度「受講者の声」をご覧ください!

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